答えよりロジック、ロジックより刺激。

今日から、新年初仕事、という方が多くいらっしゃるのではないでしょうか。

私は本日祖母の告別式を行ったため、明日から仕事復帰です。夕方ごろから、徐々に頭を仕事に残すために一社一社自分が携わる案件のことを考えていました。

 

組織の課題を解決するコンサルタントとして、我々は何を提供すべきか?

ということを、日々、試行錯誤します。

その自分なりの答えもまた時とともに更新されるとは思いますが、去年一年は、仕事を通じてこんなことを学びました。

 

・複雑な課題を前に困っている相手にコンサルとして提供すべきは、「答え」ではない。

・答えよりも、答えにたどり着くための「ロジック」を、相手に理解できる形で提供すること。

・ただし、これまでにない斬新で創造的な解決策を相手が出すことを支援したいのであればロジックだけでは足りない。

・この問題解決に参加する一人一人の現在の思考パターンを超えるアイデアを生むための「刺激(インスピレーション)」が必要だ。

 

答えよりロジック、ロジックより刺激。

 

なぜ、答えではダメなのか。

我々のパートナー(弊社ではクライアントのことをパートナーと呼んでいます)を含め、非常に多くの事業会社がコンサルを雇った後の失敗例の一つとして「コンサルの作った戦略を、コンサルが去った後に実践できない」ということを挙げていらっしゃいます。

これは、「コンサルが出す答え」の危険性を示していると思います。どんなに質の良い、例えばシリコンバレーの企業が採用している事例に並ぶレベルのピカピカのソリューションを提供しても、相手の会社の社員がその答えについてしっかり腑に落ちていないとこれは使えない・長続きしない戦略となってしまいます。だからこそ、どんなに質の良い答えよりも、その会社の社員(特にキーパーソンたち)がしっかりと納得して、愛して、それゆえにきちんとコミットしきれる答えを出すことというのが何よりも大切だということを実感します。

 

その、相手の社員が納得できる答えを出すことを支えるために必要なのが、ロジック。

ここでいうロジックとは、「何を」「どんな順序で」「誰を巻き込んで」考えることで、みんなで答えを作っていくことができるのかというプロセスのことです。コンサルの強みって、答えを出せることじゃなくて、答えの出し方を知っていることの方が圧倒的な強みだと思うのです。だからこそ、自分が普段当たり前のように頭の中で回しているロジックを、丁寧に振り返って把握し、それを今度は相手が辿れるようにわかりやすく提示していくことでようやく価値発揮に繋がるのです。

 

ですが、それだけだと・・・

ミラクルが起きないわけです。普通のロジックに従えば、普通に他社がやっているような良事例に似たようなものが出てきたりします。そうすると、社会的にみても、あるいは社員にとっても、何らインパクトのない正統派の答えが出てきたりします。そういう答えを求めている場合は良いのですが、もっと自社にとっても社会にとってもブレイクスルーとなるソリューションを探したいと真剣に考えている会社にとっては、そういったアイデアに 相手が たどり着くための道筋を作ることがコンサルの役割になります。

それが、刺激の設計です。これは去年、とっても苦労しました。例えば、自社の人事制度を考えていくというときに、最近の人事制度の傾向や他社の事例をただただ提供するだけでは、何の刺激にもなりません。考え方の参考にはなります。一般の従業員の声を集めること、経営陣の考えを集約すること、これも必要な(ロジカルな)プロセスではありますが刺激ではありません。刺激とは、それに触れることで心や身体がゾクゾクして、通常の思考プロセスを超えて全然違うところからアイデアやインスピレーションをもたらすきっかけになるものです。どんな情報だと刺激になりうるのか、あるいは同じ情報でも、どんな触れ方をすると刺激になりうるのか・・・これはすごく難しい問いで、日々模索しています。ただ、ここにたくさんクリエイティブな答えが見つかれば見つかるほど、それは弊社にとっての(もちろん他社もそうだと思います)揺るぎないコアの強みになるのではないかと確信しています。

 

答えよりロジック、ロジックより刺激。

人を突き動かす、通常の思考経路を超えさせる「刺激」って、どのように与えられるのか?

今年もじっくり模索していきたいです。

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